◎小杉武久 サウンド・インスタレーション WIND
2003年12月5日〜21日
愛知県美術館 展示室3(愛知芸術文化センター10階)

主催:愛知県芸術文化センター企画事業実行委員会/愛知県美術館
企画:愛知県文化情報センター
企画協力:HEAR sound art library

愛知県芸術文化センター →web

風を媒介とした作品を中心に、風をテーマとした音によるインスタレーション作品の展示。「マノ・ダルマ・エレクトロニック」の03年ヴァージョン。新作「ウインド・ミュージック」「ランドスケープ」の各2種が展示発表された。風・気流の自然・偶然の動きが作用した美しい作品となっていた。


■Mano-dharma, electronic (1967/2003)
マノ・ダルマ・エレクトロニック
写真:高嶋清俊(パンフレットより転載)

電波干渉によってビート音を発する3組の高周波発信器と受信機が、扇風機の風により揺れ動き、音の表情をデリケートに変化させる。壁面に2台のプロジェクターから照射された恐竜の映像(DVD)。


■Wind Music B (2003)
ウインド・ミュージック B

写真:高嶋清俊(パンフレットより転載)
会場の入口正面に設置された作品。圧電マイク(ピエゾ発音体)が3個ずつ8本の枝に取り付け、下部の扇風機の風を送る。圧電マイクの接触の音は周囲の8チャンネルのスピーカーから発せられる。「ウインド・ミュージック A」は、水槽に浮かべられた4個の透明アクリル球体のなかに、光の変化で音が変わる電子音回路が組み込まれている。ミニ扇風機2台からの風がそれらを動かし、音が変化する。


■Landscape B (2003)
ランドスケープ B
写真:高嶋清俊(パンフレットより転載)
息の音(MD録音)が8個の材質・形態が異なった金属オブジェに取り付けられたコンタクト・スピーカーから流れる。異なった物体の共振性。「ランドスケープ A」は、敷き詰められた玉砂利からワイヤーの茎が8本、その先端にはスピーカーが花のように取り付けられている。空気の静かな流れのように密やかに流れる電子音。


◎イベントトークPart 12 アートプロミナード11
小杉武久 レクチャー&パフォーマンス
2004年12月21日
アートスペースA(愛知芸術文化センター12階)

この日のレクチャー&パフォーマンスは、とても充実した時間であった。あらかじめ7つの作品の演奏が予定され、レクチャーと交互に進行する構成。選ばれた7つの作品は、淡々とした語り口は、限られた時間内で、小杉武久のサウンドと思考の関わり、深化をくっきり浮かび上がらせていた。

■Micro 1 (1961)
マイクを大きな紙でしっかりと包み込み、放置すると、やがてくしゃくしゃになった紙がかすかに動く。この音を大音量に増幅して聞く。

■Organic Music (1962)
息を「吸う─止める─吐く」行為を演奏に転用した作品。この日はインテリア楽器のアコーディオンが使われ、ダイナミックな音行為になった。

■Anima 7 (1964)
日常行為を長時間かけて行うパフォーマンス。ヒロヤマガタのヴァージョンで、コウモリ傘を開く、閉じる行為を数分かけて行う。遅延する時間が視覚化する。

■Interspersion (1979)
一定パルス音を発する電子音発信器を複数使い、ランダムなリズムが点在する背景で、貝殻や竹櫛など日常的なもので音を出す。

■75 Letters and Improvisation (1987)
ジョン・ケージ75歳の誕生日に捧げられた作品。アルファベット26文字、いろは48文字に架空の1文字を加えた計75文字をランダムに書いたテキストを使用。文字を即興的に音声化され、エフェクターを通して再生するヴォイス・パフォーマンス。

■Steams (1991)
複数の発信器とエフェクターを操作し、4チャンネルのスピーカーから再生する作品。コントロールできない部分があることが、イヴェント・ミュージックの面白さでもある。キャスター付きの椅子をすべらせドライヴする小杉武久、この日はかなりハードな演奏だった。

■Op Music (2001)

光に感応する2種類の電子音発生器、音と光の変換器を組み合わせ、音を光の状態(点滅・強弱)に作用させる。音と光が交互に影響し合う作品。
t.okazaki
協力:愛知県文化情報センター、HEAR sound art library



小杉武久プロフィール: 1938東京生まれ。1960年日本で最初の集団即興演奏のグループ<グループ・音楽>を結成。1969年から76年、様々な場所で集団即興演奏を行う<タージ・マハル旅行団>を結成し、国内外の芸術祭などに参加。1977年渡米、以来、マース・カニングハム舞踊団の作曲家/演奏家として、ジョン・ケージ、デヴィッド・チュードアらと活動。1995年から同舞踊団の音楽監督を務める一方、個人としても、世界各地でのコンサート活動と共に、サウンド・インスタレーションを発表している。(写真は当日撮影の小杉氏)
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