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04……韓国 Part 1:
人と神をつなぐ音─巫楽(ムアク)
シャーマン・ミュージックに酔う
巫俗(ふぞく)とは、「巫者(シャーマン)の特別な能力と儀礼を通じて、神や先祖とが交流し、それによって人々の生活の安定を願う民間信仰」で、巫俗儀礼(クッという)の音・ことば・身振りは高度なパフォーマンス性をもち、芸能の根元的な姿でもあるが、80年代になり無形文化財の指定対象になるまで、非近代的な迷信として排斥されてきたという。
巫楽(ムアク)は、クッの中で行われる音楽と舞踏のこと。巫者の大部分は女性で、巫女(ムーダン)と呼ばれる少数の男性の巫者もいる。巫者には、降神巫(ある日神がかりとなったもの)と世襲巫(代々の家系からなる)がある。世襲巫が行う儀式では、降神巫に比べ代々伝わる音楽も複雑なパターンを頻繁に用い、舞踏は優雅とされる。
クッは、神を迎え、遊び、送るもの。死者の霊を慰めたり、家の祝福、病気平癒、村の平和と安全などの目的で行われる。半日から一週間に及ぶクッもあり、歌とことばと演技巧みで観る者を飽きさせないという。
「ハン(恨)」という韓国人の生の根本原理のひとつ「心の奥に積もった哀しみ・苦しみ」であるハンを解消する=晴らす(ハン・プリという)、場であるクッ。人々の感情のエネルギーを一気に放出する。「泣き」「笑い」「踊る」という形で人々がハン・プリできる儀式なのだ。長大な神話の朗唱は、力強く聴衆を引きつける。これは語り物芸能のパンソリにも通じる。
クッに用いられる楽器演奏は、歌と密接な関係がある。合いの手を入れ、音やことばで絶妙のやりとりを交わし、巫者のパフォーマンスを鼓舞する。
主な楽器は、チャンゴ(両面太鼓)、チン(大型のドラ)クェンガリ(小型のドラ)やパンウル(鈴)チェグム(シンバル)と金属製楽器が多く、けたたましいくらいのその打楽器の連打は、興奮と熱狂、神がかりへと誘う力ともなっている。
主に舞踏伴奏に使われる管楽器としては、ホジョク(=テピョンソ、チャルメラに似たダブル・リードの木管楽器)は、野性味と哀愁が交錯した音色は魅力あるものだ。
左:ホジョク
右:ピリ
研樂社(ヨナクサ)の
カタログより転載
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シナウィと散調(サンジョ)は、巫楽と非常に近い。
シナウィは、ソウル以南(京畿道・忠清道・全羅道)の世襲巫のクッに伴う音楽、クッに基づいた音楽。特に全羅道はシナウィの本場。集団即興演奏で行われる。ミ・ラ・シの3音に基づくケメンジョ(界面調)という旋法をベースにインプロヴィゼーションで演奏される。どろ〜とヘヴィー、火花が飛びかうような実に強烈な演奏と喧噪が魅力だ。シナウィに使われる楽器は一定していないが、チャンゴ、テピョンソ(ホジョクともいう。木管ダブル・リード)ピリ(ダブル・リードの縦笛、日本のひちりきに似ている)テグム(竹製の横笛)ヘグム(2弦の胡弓)コムンゴ(6弦の琴)カヤグム(12弦の琴)アジェン(7弦の珍しい擦弦の琴)ヤングム(鉄弦を竹バチで打つ)といった楽器が加わる。
散調(サンジョ)は独奏楽器のための楽曲形式で、シナウィから発生したとされる。伴奏は主にチャンゴや太鼓で、使用されるリズム周期=長短(チャンダン)とともに、伝承された器楽の旋律句を即興的につなぎ合わせて演奏する。
韓国シャーマン・ミュージックの極致/シナウィ
ビクター VDP-1363
88年録音。全羅道を中心に育った音楽。この作品で初めてシナウィの魅力を知った。
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韓国のシナウィ合奏─熱情風流
キング KICW 1054
84年録音。「シナウィ合奏」「ヘグム散調」「ピリ・シナウィ」「プンムル・ノリとテピョンソ・シナウィ」どれも素晴らしい演奏。特にキム・クワンボクの演奏するピリやテピョンソがいい。全羅南道の音楽独特の抑揚とヴィブラートが鮮烈。
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豊漁の祭儀/東海岸 別神クッ
ビクター VICG-60390
江原道、慶尚道の東海岸地域は、他地域に比べ、クッが多く行われているという。漁民たちが地域の守護神に彼らの豊漁と漁労安全を祈願する信仰。激しく打ち鳴らされる金属打楽器のケンガリ、チン、ジェグム、両面太鼓のチャング、木管楽器のホジョクによって、エネルギッシュで激しくポリリズミックな演奏が繰りひろげられる「門クッ四物」。キム・ソクチュル(金石出)の素晴らしいホジョクのソロが堪能できる「胡笛散調」。巫歌のキム・ウソン「世尊クッ」もエネルギッシュだ。91年録音。
*キム・ソクチュルに関しては、Part 2へつづく
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鼓竹の饗宴/四物(サムル)と胡笛(ホジョク)
ビクター VICG-60389
「四物と胡笛のシナウィ」の演奏も素晴らしい。四物(サムル)は、4種の打楽器(ケンガリ、チン、プク、チャンゴ)を指す。これらを伴奏にパク・チョンソンの胡笛(ホジョク)が中心となり演奏する。サムルは日本でも農楽(ノンアク)を演奏するパーカッション・アンサンブル、サムルノリのグループが80年代から広く知られ親しまれている。ここでのシナウィも、激しいカオス的喧噪と同時に深い哀感が感じられる。「竹風流」はピリ2本が中心となるこの曲は舞踊の伴奏や後身音楽の管楽。これはのどかな演奏。88年録音。
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▼9つの道

【次のページへ】
→ 韓国 Part 2:グレイトフル・マスター、キム・ソクチュル
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contents
:: MUSIC
:: 民族音楽 耳のよろこび
00: Reference
01: タイ
02: バリ
03: インドネシア
04: 韓国
05: 沖縄
(番外) Cafe Mekong/Hotel Vietnam
舩橋楽器資料館
music main
■韓国音楽探検
植村幸生・音楽之友社刊
シナウィ、散調、プンムル、サムルノリ、パンソリと韓国の音楽文化を探る優れた内容。
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■「ソリ」の研究
櫻井哲男・弘文堂刊
フィールドワークに基にした研究書。
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