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ソウル旅日記 前半




「ソウルにいかへんか〜? 焼肉とエステやで〜!」
大阪に住む友達の一言がきっかけで、私は初めてのソウルにやってきた。

【一日目】

名古屋空港からは、あっという間だった。
離陸してすぐ出た機内食を食べて、うとうとして… 起きたら、もう着陸だった。「えっもう着いたの?? なんか感動がないわ〜〜!」(ぐうぐう寝とったくせによう言うわ!)と、思ったのもつかの間、「韓国は、飛行機を降りるとキムチの匂いがするんだよ。」とか、行く前に吹き込まれてたけれど、そんなことはまったくなく、それはそれは、すばらしく広く美しい仁川空港に降り立ったのでありました。

ゲートを出ると、そこにはプラカードを持ったガイドさん(であろう人)たちが、ずらーーーっと50人近く並んでいて、「向こうは、私がわかるのか?」と、少し心配になってたところ、「まついさーん!」と、私を呼んでくれたのが、今回のガイドのカンさんだった。同じ年頃の彼女は、聞いてみるとひとつ年下でまだガイドにはなりたてとのこと。今回、私がソウルにはじめて来たと知って、「勇気がありますね〜」と言われる。いえいえ、こちらで友達と落ち合う約束なんです。さすがに、まったくのの一人旅では心細かったかもしれない。

今回私はツアーのたった一人の客で、ふつうなら乗合のワゴンタイプの車で移動するそうなのだが、偶然にも一台の車に私達二人だけで乗ることになった。
「こんなのは私も初めてですよ。ラッキーですね、まついさんは。」
「ほんとに。なんだかぜいたくな感じがするね〜」と、私。
彼女と市内観光に向かうタクシーに乗って、一時間ほど話すうちに、私と彼女はまるで旧知の友人のようにうちとけていた。お互いの環境がよく似ていたせいと、彼女が10年前名古屋に留学していた経験があったせいかもしれない。同じ世代で、同じく仕事をもってがんばる彼女。私はお隣りの国にそうやって生活する女性と出会ったことがうれしくて、どんどん話した。

お昼ご飯はツアー指定のお店での「石焼ビビンバ」だった。
私が一人で食べるのはつまらないだろうと、彼女は店の人に交渉して一緒に食べてくれた。本来はガイドさんたち用の食事の場所ってのが、店の別のところにあるらしい。韓国の食事には「付きだし」のようなおかずが数種ついてくる。キムチはもちろん、サラダや、おひたしとか。それはおかわりができるそうだ。
「これが韓国第一食目だわ〜」と、感激して食べる。
混ぜて混ぜて食べる石焼ビビンバはとてもおいしかった。韓国の食事って野菜がたくさんでヘルシーだと思う。
カンさんいわく、「一般の家庭では、そんなに肉ばかり食べているわけではないんですよ。時々は外食で食べるけど、家では野菜が多いです。」だそうだ。じゃあ、一緒じゃん!!

今日のスケジュールは半日の市内観光で、あとは帰国の3日後までフリーな日程だ。
まず訪れたのが景福宮だった。景福宮は、朝鮮王朝時代の王宮があったところだ。ソウル市庁の北、すぐ近くにあって観光客でいっぱいだった。遠足にきてる地元の幼稚園児もいて、にぎやか〜。スモックがカラフルでかわいかった。カンさんが、一つ一つ説明してくれる。600年以上前の石畳。位に応じて歩くところが決まっていたらしい。その一番真ん中を歩いてみる。王様が歩いたというその石畳に触ってみた。「ソウルに来たんだよな〜」と、そのとき急に感じた。2004年完成予定の入れないところがあり、「私、2004年にまたここに来たら、見れるね。」と、カンさんに言う。



次に、ほとんど地続きの敷地にある国立民族博物館に。
カンさんが、自販機のポカリエテットをおごってくれた(700ウォン=70円也! 韓国には250ml缶しかないんだそうな。)韓国は食事代と、交通費が安いと聞く。生活に一番必要なものだから、国が安くしてくれていると。その他のものは、日本の8割くらいだということだ。見学を終えて歩いていくと、石でできたお地蔵さんのようなのがあって、その鼻のところが、けずられたようにすっかり平らになっている。聞いてみるとそれは、済州島の火山岩でできていて、「トルハルバン」といって、「鼻を触ると男の子が生まれるといわれている。」、道祖神のようなものだと。ほぉ〜〜と思い、なでておく。カンさんもだ。「これで私たちも男の子の母よ〜〜」とか言って笑いあう。

私が何の気なしに、「アカスリにもいってみたいんですよね〜」と言うと、カンさんはすぐにお店を調べて予約を取ってくれた。
おお、アカスリ初体験だよ。めちゃくちゃ興味津々!! ということで、次は明洞に移動。

移動のタクシーの中で、何やら運転手さんと、カンさんが話している。「?」という顔で見る私に、カンさんは、「日本では車に乗るときの上座ってどこになりますか?」と聞く。「えーと、運転席の後ろ。」と答えると、「あーそうですね。韓国では運転席の後ろではなくその隣り、つまり、私(カンさん)の座ってる側なんです。だからドライバーさんが、『それは、日本がそうだからなのか、(カンさんが)新人だから知らないのか、いずれにしてもこれからは気をつけなさいよ』と、私に教えてくださったんですよ。」ということだった。そういう、習慣の違いみたいなものもこうして聞くと新鮮な気がするなあ。私は席なんて、どっちでもいいんだけどね。

そして、アカスリ体験。
すべてはもう日本人観光客向けのコースになっていて、たくさんの従業員がいるその店内はすべて流れ作業。私はその流れに乗って流れていきました…。以下がその詳細です。

着替え→コース説明→申し込み(私は、基本のアカスリコースと、オプションのフットマッサージ)
◎エレベーターで移動。(上なのか下なのかわからない)
◎低温サウナ。なぜかみんなでごろ寝。5分くらいで呼ばれる。
◎汗蒸幕。麻の布(ふろしきサイズ)を頭の上から掛けられて、麻のゴザを持って120度くらい? のドームの中へ。少し座ってるだけで汗が流れる、ぼたぼたと。呼んでもらえるかと思って待っていても誰も来ず、GIVE UP !!
◎座って汗が引くのを(順番を)待つ。
◎呼ばれて、エレベーターで移動。(上なのか?下なのか?)
◎風呂。「洗ってから入ってくれ。」といわれる。いろいろな風呂があるので、出たり入ったり。
◎いよいよアカスリルームへ。制服のおばちゃんに台に乗れと指示される。おばちゃんは日本語で、「うつぶせ」「よこ」「反対」「あおむけ」とだけ言って、ごしごしこすってくれる。痛くても、声が出せない雰囲気…。
◎最後にスポンジで洗ってくれる。石鹸の泡だらけに…。「おわり。」「ああ……はい。」
◎台を降りて、泡にまみれたままシャワーのとこまで歩いていく… 少々情けない。
◎また風呂。ちょっと待つと、今度は別の場所でオイルマッサージ。また台に乗る。顔には「きゅうり」がどばっと乗せられる。冷たい!
オイルまみれで、台の上でくるくると向きを変えさせられる。このころになると、「もう、好きにやってください!」という気分になってくる。
◎最後に自分でシャンプーしておしまい。ちょっとのぼせ気味…。

オプションのフットマッサージのお姉さんは、すっごい美人だが愛想はない。でもって、すごく痛い。…
そして気持ちいい。
その後、好きな色を選んで、ペディキュアをぬってもらう。うふ。ふ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ、2時間。しかし、すっきりしたあ。

ホテルに到着し、カンさんとはここでお別れ。
友人と連絡の取れない私を心配してくれ、「よかったら明日も案内しますよ。」といってくれる。(わーーん、ありがとう。)そしてそこには、もう佐藤さんがきていた。(初対面なんだけど。佐藤さん
*1 は韓国在住で、日本と韓国を行き来しつつ活動しているミュージシャンです!)ほんとはそこで落ち合うはずの友人とはまだ連絡が取れず、じゃあ、先に何か食べよう! ということになり、ホテルのそばの焼肉屋へ。ここは外にテーブルが出ている店で、各テーブルから煙が上がっている。お、おいしそ〜〜〜! まずは、ビールで乾杯〜〜〜〜! 焼肉を食べる。カルビにマッチャン、キムチにサラダ。味はまずまず。小さな鉄の鍋に入ったチゲが焼き網の上に乗せられ、ぐつぐつと煮える。白いご飯もでてきてすっかり満足。めちゃうま。

しかし、なかなか友人と連絡が取れない。「じゃあ、移動して待ちましょう!」と、地下鉄に乗って新町(シンチョン)に移動。
韓国の地下鉄に一人で乗ってみたかった。今回の旅ではいろんなことがしたくってこれもそのひとつだった。
ガイドのカンさんは、「地下鉄は日本語表記がないし、難しいんじゃないかな。アナウンスも聞きづらいし、乗り換えもあるから、私でも間違うことがあるよ。」なんて心配そうに言ってたけど、乗ってるぶんには日本の地下鉄と変わりない。そんな話をしてたら、佐藤さんが、「絶対に大丈夫!(自分も)はじめて来た頃、ハングルはできなかったけど、地下鉄には乗れたから。」と、教えてくれた。

新町は、学生街で若者が多く、食べ物屋さんも多いらしい。新町の居酒屋では、必ず食べようと思っていたチヂミと、飲んでみたかったマッコルリを飲む。マッコルリは韓国のどぶろくで、冷えてて甘酸っぱくて、何杯でも飲めそうだった…で、飲んだ。ぱふ〜〜っ。うまっ!
お店のオジさんが、ぶどうをサービスしてくれた。佐藤さんの話してくれる韓国ネタで盛り上がる。「韓国はとっても負けず嫌いで、見栄っ張り。韓国は兄、日本は弟という感覚が根底にある。」らしく、「学校制度も日本と同じだが、スタートは一ヶ月早い3月だ。」とか。「サンシャイン60に対抗して作ったビルが63階建てなんだけど、地上60階、地下3階の63階だ。」とか…。そんなたとえ話はいくつもあるらしい。

そこへ、友人から佐藤さんのケータイに連絡が入る。
「あー、やっとつかまったな〜〜」
「なあなあ、今どこ? これから2時までやってる足マッサージの店に行かへん?」
「行くか?じゃ、予約とか調べてまた連絡つけるわ。」
そのとき、11時。私は飲んでるし、食べてるし、マッサージのおかげで足も軽く、体も楽ちん。まだまだ出かける元気はあるし、もう、どこでも行きますよ〜〜の気分。

新町から、友人の泊まっている「ウォーカーヒルホテル」までは、少し遠い。11時ごろには、もう地下鉄は終わってしまっている。タクシーで行くことになるが、なかなか空車がこない。
韓国のタクシーには2種類あって、白い一般タクシーと、黒い模範タクシーがある。
一般タクシーは、基本的に相乗りだ。
模範タクシーは値段が一般タクシーより高いが、運転手は英語や日本語も話せるし、相乗りもない。ガイドブックなどには、韓国旅行初心者には、模範タクシーの利用がすすめられている。なんたって日本語が通じる! それに値段が高いといっても、タクシーの料金は日本と比べ物にならないほど安い。私もできたら模範タクシーで行きたいと思っていたのだが、なかなか流しのタクシーはこない。選べる状況じゃない。

「ぼったくられたら、いやだな〜。」などと言っていると、佐藤さんと、お店のオジさんが一台のタクシーを止めて、値段の交渉をしてくれる。佐藤さんは、少しだけ一緒に乗っていくことになる。運転手さんの隣りには、どう見てもかなり酔っ払っている若い男の子が乗っている。後ろを振り返って、じーーーっと私のほうを見てる。(こ、こわいよ〜〜。)
佐藤さんは、運転手さんと何か話しながら、「きっとこれからしばらく、不思議な時間を過ごすことになるよ。大丈夫、運転手さんはいい人だから。」といって、降りていった。「ええっ〜〜!!」彼はずーーっと、こちらを振り返ったままだ。前向けよ〜〜!

推測で24、5歳のこのにーちゃんは、すでに目がすわっていて、「ユアネーム?」だの、「アイ・ウオントゥ・ビィ・ペンパルゥ〜〜」だの、やたらと話し掛けてくる。しかし、こんなこともそうない(←悲しすぎ)ので、「私って、韓国ではもしかしていけちゃう?」(←おめでた過ぎ)と一瞬思ったが、ぜんぜん言葉が理解できないふりをして無視していた。
が、私のほうに手を伸ばして呼ぼうとする、あまりの熱心さに、運転手のオジさんが見かねて、彼のヒザのとこを「ぱしっ」っと叩いたら、ようやく静かになった。「これも旅の思い出ってことで。」なんて、寝たふりをしてたら、彼はどうやらあきらめたようだった。ほっ♪

ウオーカーヒルホテルで、友達に会い、ラウンジでカクテルを飲み、おしゃべりしてカジノを見につれていってもらう。すごい熱気だったけど、軍資金もなければ、ギャンブル好きでもない私には、いまいちピンとこない世界。飲み物や食べ物は、すべてサービスのフードコーナーになっていて、私はタダのおかゆを食べ、コーヒーを飲んだ。(それがカジノの思い出なんて?!)

タクシーに乗って帰る。模範タクシーの運転手さんは、日本語がぺらぺら。「ソウル、楽しんでますか?」「結婚してますか?」「ご主人は?」「明日のガイドがもし必要ならお電話ください。」「マッコルリ、おごりますよ。」
あはは・・・ありがとう。え? 韓国ではもてるのか? 私。こんどは運転手にまでか! いや、日本からのお気楽ツアー客だからだな。思わず勘違いしそうな夜だった。(おいおい!)

ホテルに帰り、TVをつける。あまりにも濃い一日で、めまい位しそうなもんだが、ちっとも疲れていなく、なかなか興奮がさめない。部屋のテレビのKMTVというチャンネルでは、映画のように凝ったプロモーション・ヴィデオが流れていて、しばし見入る。バラードのラブソングが初めて聞くのに懐かしく感じるのはなんでだろう。
チョナン・カンの「サランヘヨ」
*2 のプロモを、はじめて見る。その後、韓国語吹き替えの「銀河鉄道999」になぜかはまる。ハングル語の鉄郎と車掌の会話。話の筋はわかっているけど、何となく可笑しい。こうなったらハングル語を話すメーテルも一目見ようと思ったけど、そのまま眠ってしまった。
いろんなことがもりだくさんで、明日のことが楽しみで仕方ない… そんな気分は久しぶりだった。

(まついちえ)


*後半へ続く

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*1: 佐藤行衛 Yukie Sato
韓国在住。99年韓国でロック・バンド、コプチャンチョンゴルでデビュー。また即興音楽家として、イヴェント「プルガサリ」を主催。ソロ・アルバムも製作中→web
またライターとしても活動。
「コリアン・スタイル」(鷺沢 萌ほか、天空企画編、光文社・知恵の森文庫、02年刊) に、食文化、音楽について執筆もしている。面白いのでおすすめ。
*2: チョナン・カン「サランヘヨ」(愛の唄〜チョンマル サンヘヨ〜)
SMAPの草なぎ 剛(韓国名:チョナン・カン)が唄う韓国語曲。つんくが作詞・作曲・プロデュース。韓国では、02年7月、ドレミメディアからリリース。また04年春公開予定の「The Hotel Venus」は、チョナン・カンとして主演。オール韓国語、日本語字幕付きという日本映画初の上映形態という映画を製作中。


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